学習の全般について[最終更新日:2009年2月18日]

Q:解いていることの
「意味が分かる」ということをもう少し教えて下さい。
A:この概念を理解するためには
「意味が分かっていなくても問題を解くだけはできる」という例を示すのがよいでしょう。たとえば「1から30までの整数30個を順にかけた数を素因数分解すると,素数2は何個入っているか」という問題を中学1年生に解かせると,「(中学受験の)塾で習ったよ」と言いながら,こういう解答をする子がいます。「30割る2は15,15割る2は7あまり1,7割る2は3あまり1,3割る2は1あまり1,15+7+3+1=26だから答えは26」確かに答えは合っているのですが,どういうことか説明を求めると,黙り込んでしまいます。要するに,理解していないが,問題の解き方の手続だけは覚えているのです。塾に通って「よく訓練されている」のですが,それだけなのです。入試には合格したが,学力が伴っていないケースは非常に多いのです。しかし,周囲は「合格したんだから」という目で見るし,本人もその気になっているので,あとが大変です。

Q:
なぜ「アルゴリズム学習」はダメなのですか。
A:アルゴリズム学習とは,問題を解く「手順を覚える」学習方法のことを言います。
問題を解く手順など覚えても,受験が終わったら全く役に立たないのです。意味が分かっていないが手順を覚えることの弊害については上述の通りです。学力が伴っていないのに試験の点数だけは取れるということから,算数仮面はこれを「学力偽装」と呼んでいます。これは,中味がないのに外形とプライドだけが出来上がってしまうので,問題が多いのです。

Q:
「元・神童」が生まれるメカニズムを教えて下さい。子どものことが心配です。
A:元神童とは,中学入試のときにはあんなに出来たのに & &という悲劇の主人公のことを言います。そうなってしまう原因は,中学入試の時点での
「学力偽装」に無自覚であることにあります。入試に受かるための方便として,自覚的に学力偽装をするのは,構わないと思いますし,その手口をお教えすることもできます。しかし,このことに無自覚な場合が問題なのです。

Q:
「元・神童」にならないための予防法を教えて下さい。
A:試験の点数が出たときに,「本当は手続を覚えたから解けたのではないか」と疑ってみることです。
「本当に理解しているか」を自問するのです。外部から訊くのが有効ですが,それができる指導者はあまり多くはありません。「自分を疑う」というのは,しんどいことですが,ソクラテスも「汝自身を知れ」「無知の知」と言っています。ただし,これをあまりやりすぎると,自信を失ってしまうので,気をつけなければなりません。

Q:意味が分かるような勉強法を取っていると,
時間がかかるのですが。
A:それは,当然です。だから,ある意味では「要領の悪い」学習とも言えて,受験には不利であるとすら言えるでしょう。ここで,「今日勝つことよりも5年後に勝つこと」の方が大事だという人生観を採用するのであれば,時間がかかっても「意味を理解する」勉強を続けると,大器が育つことでしょう。このような「急がば回れ」を実践するには,洞察力と自信が必要です。そこで,
現実には「意味が分かるような勉強法」と「要領のよい勉強法」とを上手にミックスするのです。要領だけを追うと学力が低下しますし,意味ばかり追うと時間がかかりすぎるので,「大事なことは意味を追い,大事でないことは要領を追う」のが能率よく賢くなるコツでしょう。

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